海外FXのゼロカットシステムとは?追証が発生しない仕組みを徹底解説

海外FXの基礎知識

海外FXの魅力のひとつがゼロカットシステムです。そこでこの記事では、海外FX口座のゼロカットシステムについてその仕組みや、国内FX会社との比較、追証の意味などを紹介しています。

ゼロカットシステムとは?

ゼロカットシステムとは、急落などでロスカットが間に合わず、口座残高がマイナスになってしまった場合にそのマイナス分をFX会社が負担して口座残高をゼロにリセットしてくれる仕組みです。

ゼロカットシステムがない場合にはトレーダーはマイナス分を支払う必要があります。これを追証(追加証拠金)といいますが、追証は簡単に言えばFX会社への借金であり、家財を売り払ってでも補填しなければなりません。しかも原則一括払いが求められる、恐ろしい負債です。

マージンコールとは?

マージンコールは、証拠金に一定の損失が発生した場合にFX会社が顧客に対して証拠金の減少を知らせるサービスです。今の段階では市場から「退場」にはならないけれど「証拠金が一定水準以上減少している」ことを示すサインで、いわばサッカーの「イエローカード」のようなものです。

マージンコールはFX会社からメールで通知されますが、一部の国内FX会社ではマージンコールが発生すると決められた期日までにFX口座にお金を振り込んで証拠金維持率を高める必要があります。もし振り込まずに放置していると強制ロスカットされてしまいます。この追加入金も追証といいます。

つまり追証には2種類の意味があります。

  1. 口座残高がマイナスになった場合のFX会社への借金
  2. 証拠金維持率を高めるために必要な追加入金(マージンコール)

本記事では追証を①の意味で使用しています。②のマージンコールは海外FXやほとんどの国内FX会社では単に証拠金維持率の低下を知らせるアラートでしかなく、追加入金の必要はありません。

ハイレバレッジにとってゼロカットは必須

当然ながらレバレッジが高ければ高いほど値動きに対する影響は大きくなります。

例えば、1ドル100円の時に10万円でドルを購入すると

  • レバレッジ25倍:2万通貨
  • レバレッジ400倍:25万通貨

購入することができます。この時、相場が100pips急落し、強制ロスカットが間に合わなかった場合、口座残高は以下のようになります。

  • レバレッジ25倍:2万通貨×100pips=-2万円
  • レバレッジ400倍:25万通貨××100pips=-25万円

レバレッジ25倍なら口座残高はまだ8万円ありますが、400倍だと-15万円となり、追証が発生します。

このようにレバレッジが高ければ追証発生のリスクは高まりますのでハイレバレッジにとってゼロカットシステムは必須であるといえます。

実際に追証はどれくらい発生するのか?

そうそう追証なんて発生しないと思っている方もいるかもしれませんが、実際にはかなりの追証(未収集金)が発生しています。

下記の表は金融先物取引業協会が発表したロスカット等未収金発生状況をまとめたものですが、○○ショックが発生する度に数千件、何十億という規模で発生しています。

海外FX会社はトレーダーが負ったこの借金を全て肩代わりしてくれますが、国内FX会社はきっちりと請求してきます。

発生日原因発生件数発生金額
2015年1月15日スイスフランショック1,137件19億4千8百万円
2015年8月24日チャイナショック4,820件8億2千8百万円
2019年1月3日アップルショック6,389件8億8百万円

海外FX会社は本当にゼロカットしてくれるのか?

ゼロカットシステムが公式サイトに明記されていても実際にゼロカットしてくれなくては意味がありませんよね?

この点に関しては安心して下さい。ほとんどの海外FX会社はゼロカットの実績があります。例えばXMTradingはスイスフランショックの時に、AXIORYはギリシャショックの時にはゼロカットを実施しています。

スイス国立銀行がEUR/CHFの上限撤廃を決定したことによって引き起こされた最近の市場での非常に大きな値動きによって、XMはスイス国立銀行による大混乱の影響は受けていないことをお客様に保証致します。

XMTradingは常にマイナス残高の自動的な保護を提供していることをお客様に再度ご案内申し上げます。

XMTradingは、この度のEURCHF通貨ペアの異例な値動き等の混乱時には、特にお客様に対する当社の忠誠心の現れとして、こちらのマイナス残高の自動的な保護を継続していく所存です。

先週中にマイナス口座残高が発生した全てのお客様は、当社の評判と強みへのお約束を果たす為に、マイナス残高が起こりうる他のケース同様に、マイナス残高は既にリセットされています

出典:重要なお知らせ – CHFに関する更新(XMTrading)

2015年7月5日 ギリシャ問題解決のためギリシャにてEU離脱の是非を問う国民投票が実施され、7月6日相場開始当初から対ユーロ通貨だけではなく、その他通貨ペアに関しましても、為替レートの急激な変動や断続的な配信の停止、スプレッドの大幅な拡大がみられ、結果約13分にわたり、「新規オーダーができない」「保有ポジションの決済ができない」という状況が断続的に発生し、外国為替市場が一時大混乱になる事態が発生しました。

これにより、多くのお客さまの口座残高がマイナス残高となりましたが、当社ではお客様に対し、一切の追証金を請求することなく、マイナス残高を抱えている全ての口座を、7月6日(日本時間)8:00(日本時間)を以て、ゼロリセット(マイナス残高を”0″にする)する処置を行いました

出典:ギリシャ情勢の影響によるゼロカット実施のお知らせ(AXIORY)

スイスフランショックの時には海外大手FX会社のアルパリ(UK)Limitedは全てのトレーダーの追証を引き継ぎ、破綻しています。

ところが中にはゼロカットシステムを謳いながら掌を返した海外FX会社もありました。そのひとつがFXDDです。為替コヤジはFXDDでミラートレーダーを使っていましたが、スイスフランショックで口座残高がマイナスになり、追証を請求されました。現在、ほとんどの海外FXブログでFXDDを薦めていないのはこのせいです。

このようにゼロカットシステムを採用していない、あるいはゼロカットの実績がない海外FX会社は淘汰されていくので多くの海外FXブログで薦められている海外FX会社を選ぶようにしましょう。

ゼロカットはいつ実施されるのか?

口座残高がマイナスになった場合、ゼロカットされるタイミングは海外FX会社によって異なります。

  • 次回入金時にゼロカットを実施
  • 自動でゼロカットを実施

自動でロスカットを実施しているFX会社は基本的に24時間程度で口座残高が±0になりますが、入金をすればすぐに±0になります。もしならない時はサポートに問い合わせれば対応してくれます。もちろん、追加入金分からマイナス分が差し引かれることもありません。

参考までに主要海外FX会社のゼロカット実施タイミングを載せておきます。

FX会社ゼロカットのタイミング
XMTrading次回入金時
AXIORY24時間以内
TitanFX平日ロールオーバー後(日本時間7時)
iFOREX自動的にリセット
GemForex60分以内
LAND-FXサポートに申請
HotForex次回入金時
Tradeview次回入金時
FBS1~3秒でリセット

なぜ、国内FX会社にはゼロカットシステムがないのか?

国内FX会社にはゼロカットシステムがないのは金融商品取引法で損失補填や損失補填の約束を禁止されているからです。

第三十八条の二 金融商品取引業者等は、その行う投資助言・代理業又は投資運用業に関して、次に掲げる行為をしてはならない。

一 投資顧問契約、投資一任契約若しくは第二条第八項第十二号イに掲げる契約の締結又は解約に関し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をする行為

二 顧客を勧誘するに際し、顧客に対して、損失の全部又は一部を補てんする旨を約束する行為(損失補塡等の禁止)

第三十九条 金融商品取引業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。

一 有価証券の売買その他の取引又はデリバティブ取引につき、当該有価証券又はデリバティブ取引について顧客に損失が生ずることとなり、又はあらかじめ定めた額の利益が生じないこととなつた場合には自己又は第三者がその全部又は一部を補塡し、又は補足するため当該顧客又は第三者に財産上の利益を提供する旨を、当該顧客又はその指定した者に対し、申し込み、若しくは約束し、又は第三者に申し込ませ、若しくは約束させる行為

二 有価証券売買取引等につき、自己又は第三者が当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補塡し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため当該顧客又は第三者に財産上の利益を提供する旨を、当該顧客又はその指定した者に対し、申し込み、若しくは約束し、又は第三者に申し込ませ、若しくは約束させる行為

三 有価証券売買取引等につき、当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補塡し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため、当該顧客又は第三者に対し、財産上の利益を提供し、又は第三者に提供させる行為

出典:金融商品取引法(抜粋)

そうなると金融商品取引法に違反している海外FX会社を使っても大丈夫なのかという心配がでてきますが、海外FX会社から国内のトレーダーに勧誘行為を行わず、国内のトレーダーが自ら進んで取引するのであれば違法ではないということになりますので問題ありません。

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また、国内FXはDD取引と言って“トレーダーの損失がFX会社の利益になる相対取引”を導入しています。トレーダーが負けることでFX会社が儲かるわけですから、トレーダーの借金を肩代わりするメリットはありません。

仮に法律がゼロカットを許しても、国内FX会社がゼロカットを導入することはないでしょう。

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