海外FXで取引することは違法か?海外FX業者の法的位置づけと金融ライセンス

海外FXの基礎知識

海外FX業者で取引することに法的問題はないのでしょうか?答えは違法ではありません。国内FX業者と違い、海外FX業者は日本の金融庁の登録は受けていませんが、あるルールさえ守れば心配無用です。そこで、海外FXが違法ではないという理由や、海外FX業者の金融ライセンスについてお伝えします。

海外FX会社でFX取引を行うことは違法か?

日本国内では金融商品取引法が整備され、FX業者に登録制が導入されたため、国内FX業者は、金融庁の登録を受けて営業しています。金融庁は、無登録業者に対して登録して営業するように警告や注意を行うなどの対処をしています

日本の金融庁は無登録の海外FX会社に対して「無登録で金商品取引業を行う者」として警告を行っています。これはXMやAXIORYなど約300社の海外FX会社が対象となっています。警告の理由は「インターネットを通じて、店頭デリバティブ取引の勧誘をおこなっていたもの」が大半です。


出典:無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について(金融庁)

海外FX会社が日本市場に参入する際に適用される法規制の根拠は以下の通りです。

 外国証券業者に関する法律第3条により、外国証券業者が国内にある者を相手に証券取引行為を行う場合には、国内に支店等の営業拠点を設け、監督当局の登録を受けなければなりません。本規定に違反した場合は、同法第45条及び第50条の罰則が課せられます。

しかし、登録を受けない外国証券業者であっても、その取引相手が証券会社やその他金融機関等の場合、もしくは証券業者が「勧誘」及び「勧誘に類する行為」をすることなく国内居住者から注文を受ける場合は、国内居住者との取引をすることができます。

ここで言う「勧誘に類する行為」とは、「新聞、雑誌、テレビジョン及びラジオ並びにこれらに類するものによる有価証券に対する投資に関する広告、有価証券に対する投資に関する説明会の開催、口頭、文書又は電話その他の通信手段による有価証券に対する投資に関する情報提供」等が含まれます。

出典:外国金融サービス業者が我が国市場に参入するにあたって適用される法規制(金融庁)

つまり、海外FX会社から国内のトレーダーに勧誘行為を行わず、国内のトレーダーが自ら進んで取引するのであれば違法ではないということになります。

日本語の公式サイトを作成することは「勧誘に類する行為」に当たらないか?

ここで問題となるのは無登録の海外FX業者が日本語の公式サイトを作成することは「勧誘に類する行為」に当たらないかという点です。

日本語の公式サイトについてはガイドライン(外国証券業者によるインターネット等を利用したクロスボーダー取引(事務ガイドライン 4-4))があり、一定の条件のもとで許容されています。

ひとつは担保文言です。日本語の公式サイトに日本国内のトレーダーを対象にしていないことを明記していれば勧誘に当たらないとしています。

海外FX業者は日本語の公式サイトを公開していますが、ページ下部に日本国内のトレーダーを対象としていない旨を明記しているのはそのためです。

例えば、XMは「XMTradingはJFSA(日本金融庁)の監視下にないため、金融商品提供や金融サービスへの勧誘と考えられる業務には携わっておらず、本ウェブサイトは日本居住者を対象としたものではありません。」と明記しています。

(1)担保文言

日本国内の投資者が当該サービスの対象とされていない旨の文言が明記されていること

※ 上記措置が十分に講じられているかを判断する際には、以下に掲げる事項に留意する必要がある。

    • 当該担保文言を判読するためには、広告等を閲覧する以外の特段の追加的操作を要しないこと
    • 担保文言が、当該サイトを利用する日本国内の投資者が合理的に判読できる言語により表示されていること

もうひとつは取引防止措置です。海外FX業者は新規口座開設時に公共料金の利用明細書などを提出させて居所を確認できる手続きを経ています。

ただし、現住所確認書類を受け取っている以上、日本国内からの注文であることは明確であるのに注文に応じている点や03始まりのコールセンターを構えている海外FX業者もあるのでこの辺はかなりグレーとなっています。

(2)取引防止措置等

日本国内にある投資者との間の証券取引を防止するための措置が講じられていること

※ 上記措置が十分に講じられているかを判断する際には、以下に掲げる事項に留意する必要がある。

    • 取引に際して、投資者より、住所、郵送先住所、メールアドレス、支払い方法その他の情報を提示させることにより、その居所を確認できる手続を経ていること
    • 明らかに日本国内の投資者による証券取引行為であると信ずるに足る合理的な事由がある場合には、当該投資者から注文に応ずることのないよう配意していること
    • 日本国内に顧客向けのコールセンターを設置する、或いは国内投資者を対象とするホームページ等にリンクを設定する等を始めとして、日本国内にある投資者に対し証券取引行為を誘引することのないよう配意していること

いずれにせよ上記ガイドラインに照らし合わせるとグレーゾーンはありつつも海外FX業者が日本語の公式サイトを作成することは「勧誘に類する行為」に当たらないということになりそうです。

なぜ海外FX会社は日本の金融庁に登録しないのか?

海外FX業者は日本国内で自由に勧誘活動ができるように金融庁に登録すればいいのですが、実はあえて登録しない理由があります。

それはレバレッジ規制を回避するためです。

海外FX業者は金融庁に登録した時点で下記のレバレッジ規制の対象となり、数百倍のハイレバレッジの取引環境を提供することができなくなってしまいます。当然、海外FX業者も日本のトレーダーがハイレバレッジを目当てに海外FX業者を選んでいることは把握しているのであえて金融庁に登録しないのです。


出典:個人顧客を相手方とするFX取引に係る証拠金規制(金融先物取引業協会)

海外FX業者は海外の金融ライセンスを取得している

海外FX業者は日本の金融庁には登録していませんが、海外の金融ライセンスは取得しています。

海外FX会社金融ライセンス
XMセーシェル金融サービス庁(FSA)
※イギリス金融行為規制機構(FCA)
※キプロス証券取引委員会(CySEC)
※オーストラリア証券投資委員会(ASIC)
※ドバイ金融サービス局(DFSA)
AXIORYベリーズ国際金融サービス委員会(IFSC)
TitanFXバヌアツ金融サービス委員会(VFSC)
iFOREXイギリス領バージン諸島金融サービス委員会(BVIFSC)
※キプロス証券取引委員会(CySEC)
GemForexニュージーランド証券投資委員会(NZFSP)
is6comなし
LAND-FX※イギリス金融行為規制機構(FCA)
HotForexセントビンセント・グラナディーン金融庁(SVGFSA)
※イギリス金融行為規制機構(FCA)
※セーシェル金融サービス庁(FSA)
※南アフリカ共和国金融業界行為監督機構(FSCA)
※ドバイ金融サービス機構(DFSA)
DealFXモーリシャス金融サービス委員会(FSCM)
FXGTセーシェル金融サービス庁(FSA)
Tradeviewケイマン諸島金融庁(CIMA)
FBS※キプロス証券取引委員会(CySEC)
※ベリーズ国際金融サービス委員会(IFSC)
IFC Marketsイギリス領バージン諸島金融サービス委員会(BVIFSC)
※キプロス証券取引委員会(CySEC)
TICKMILLセーシェル金融サービス庁(FSA)
※キプロス証券取引委員会(CySEC)
※英国金融行為監視機構(FCA)
TradersTrust※キプロス証券取引委員会(CySEC)
MILTON MARKETSバヌアツ金融サービス委員会(VFSC)
MYFX Marketsモーリシャス金融サービス委員会(FSCM)
BigBossセントビンセント・グラナディーン金融庁(SVGFSA)
FxProバハマ証券委員会(SCB)
※英国金融行為監視機構(FCA)
※キプロス証券取引委員会(CySEC)
※ドバイ金融サービス機構(DFSA)

日本人向け口座を管理する法人が英国金融行為監視機構(FCA)やキプロス証券取引委員会(CySEC)など厳格な規制の金融ライセンスを取得しているのが理想ですが、そうなると数百倍のハイレバレッジや自由度の高いサービスを提供することができなくなります。

そのため、規制の緩いオフショアの金融ライセンスを取得して日本在住の日本人トレーダーにハイレバレッジを提供しているのです。

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